3日目に入り、一般ユーザー向けに公開された「東京ゲームショウ2008」。カプコンは同社ブースにて人気シリーズ『ロックマン』のスペシャルステージを開催した。
こちらのステージに登場したのは、9月に配信開始されたばかりの最新作『ロックマン9 野望の復活!!』(以下『ロックマン9』)ではプロデューサーを務めている同社の稲船敬二氏。シリーズの生みの親である稲船氏ならではのトークが繰り広げられた。
ダウンロード専売のタイトルとしてリリースされたWiiウェア『ロックマン9』。当初から追加コンテンツの配信が告知されており、10月7日(火)からは初代シリーズの主人公ロックマンのライバルであるブルースを使用できる「ブルースモード」が配信開始となっている。まず、稲船氏はブルースの誕生経緯を語った。
★稲船氏
「ブルースはファミコンの第3作目から登場したんですが、かなり色々な期待を込めて登場させたんです。僕はことあるごとに、一番好きな『ロックマン』は『2』と公言していますけど、周囲の人気が高いのも事実で、当時は次の作品でこれを超えるのは難しいなと、思っていました。そこで『2』に足りなかったものを出していこうということで、まず、キャラクタ性を強めようということになり、『アイテム2号』のような記号はやめ、『ラッシュ』を登場させました。さらにライバルキャラクタが欲しいということで『ブルース』を登場させているんですね」
実は、ブルースには稲船氏の「とあるもの」へのリスペクトが込められているという。
★稲船氏
「昔のアニメですと、『敵か味方かわからないキャラクタ』ってけっこういたんですよ。そういったテイストも併せ持ったライバルにしたいな、というのはありました。ちょっと前に、『タツノコ VS. CAPCOM』をリリースしましたが、あれも僕の『タツノコ』が好きな部分が大きくて、そこから企画が動き始めているんです。まあ、ロックマンのデザインを見てもらえば分かりますが、『キャシャーン』の影響をかなり受けていますよね(笑)」
ブルースといえば、印象的なのが登場する際に流れる「口笛」。これの収録にあたってはかなり苦労があったという。
★稲船氏
「自分の中に『カッコいい口笛』のイメージというのはあるんですが、サウンド担当になかなか伝わらなかったんです。そこで具体的な指示として『マカロニ・ウェスタン』とお願いしました。西部劇「荒野の用心棒」のクリント・イーストウッドみたいな感じですね。ゲーム以外の分野から発想を得ることはよくあります」
また、稲船氏は『ロックマン9』の好調を受けて、ダウンロード専売のタイトルを発表しやすくなったことも明かしている。
★稲船氏
「僕らとしても、名作を受け継いでいきたいという思いがありますので、今後も配信タイトルには力を入れていきます。幸いなことに『ロックマン9』が好調なおかげで、同ジャンルの発表がかなりやりやすくなりました。ぜひ、皆さんの力で『ロックマンDASH3』を実現させてください(笑)」
アクションRPGの体裁をとる『ロックマンDASH』作品は、シリーズの中でも異色といえる存在だが、根強いファンも多く、復活を望む声もイベントなどで聞かれる。稲船氏にとっても思い入れの強いタイトルのようだ。稲船氏は、最後に「これからの『ロックマン』をつくるのはみなさんの力です」と、ファンへのメッセージを送り、ステージを締めくくった